船に乗れ!(2) 独奏 藤谷 治 [本 藤谷 治]
☆☆☆☆★
主人公の彼女である南さんは、川崎市の小田急線柿生駅の商店街にある蕎麦屋の娘だ。
柿生駅近くに友人がいて、以前の(多分この小説に出てくる頃も)柿生駅前はよく知っている。
車がすれ違うのも大変な狭い商店街だ。多分今もそうだと思う。
懐かしい。久々に思い出した。
そして二人が楽器を持って歩く商店街が思い浮かぶ。
この2冊目では、主人公の大きな喪失と罪が語られる。
相変わらずの独り言節でくどいと私には感じられる文章である。
この文体で喪失と罪を語られると、本当に本人の告白文を読んでいるようだ。
唖然としてしまうほどの大きな2つの展開が有るが、その振れ幅にも物語は壊れていなく楽しめる。
大きな喪失につながる南の行動には、さすがに唖然とした。
その部分より前に、本人が持っていた音楽上達に対する強い気持ちがこの行動を起こさせたと述懐されている部分が有ったが、若干の無理は感じた。
しかし、ここで大きな主題が語られ、次冊への興味は大いに増した。
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