蜩ノ記 葉室 麟 [本 葉室麟]
☆☆☆☆☆
葉室さんの直木賞受賞作品。
武家物。刃傷沙汰を起こした青年藩士と幽閉先での家譜編纂と十年後の切腹を命じられた藩士の話。
元々が好きなジャンル。そして作者が葉室さん。直木賞受賞作品。
大いに期待をして読んだ。
その期待を裏切らない面白さ。素晴らしい本だと感じた。
武家物は好きで読みたくなる。
しかし、書く側にには色々と制約される事も多く思うようには表現出来ない事もあるのではないだろうか。実際、少し似たような話になったり、かえって個性を出そうとしてか突飛な話になっている物もあるように感じる。
本作品は、実に良く考えられた設定だと感じる。
文体も落ち着きのあるもので、内容にふさわしい。
今まで読んだ葉室さんの作品は、独特の癖を感じたが、今回は感じなかった。
幽閉先で家譜編纂をしている人は、あまりに正しく、ぶれず、心が強く、静謐で美し過ぎるが・・・
本書は、必ず再読したい本格の時代小説。
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いのちなりけり 葉室 麟 [本 葉室麟]
☆☆☆☆★
本格的な時代小説を読んだという満足感がありました。
大変良い本だと感じます。
鍋島藩支藩の藩士の物語。
初恋と上意討ち、更に数々の要素が組み合わさり物語が進む。
物語の分量からみると、登場人物も多くストーリーも多少複雑に感じる。
しかし、登場人物はそれぞれ魅力的に描写されているためか、全く問題なく楽しめる。
読んでいて、後半妙に幸福な結末を望む自分に気が付いた。
そのせいか最後の決闘は印象的であり、内容・表現方法とも素晴らしく、作者の工夫を感じた。
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