舟を編む 三浦 しをん [本 三浦しをん]
☆☆☆☆★
大変面白く、内容も軽いため、一気に読了。
大手出版社の辞書編集部の話。
「神去なあなあ日常」では、林業の世界、「仏果を得ず」では、文楽の世界。
この本では、辞書編集の世界。
三浦さんは、一般にあまり知られていない現場で主人公らを生き生きと活動させ、
物語を進ませて行くことがとても上手い。
今回も辞書編集に向いている主人公も、向いていない脇役も、
慣れていない女性編集者も、そしてその他の人々も生き生きと描かれて、
面白く読めると共に、辞書編纂の意義とすばらしさを私に感じさせてくれる。
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仏果を得ず 三浦しをん [本 三浦しをん]
☆☆☆☆★
年末年始で、大量に本を読もうと考えていたが、全く読めず。
横浜に帰省していたが、用事やら酒で。
名古屋に戻るも妻の実家でも酒で・・・
しかし両方の両親にも気を遣ってもらい、楽しい正月だったので良しとしよう。
さて本書。
一気に読めばおそらく4時間程度で読了できると思う。
軽い内容であると共に、引き込まれる面白さがあるため。
文章も読みやすく、分かり易い。
それでいて、十分な描写がなされていると感じる。
作者の文才を大いに感じるとともに、特徴が出た良い本だと思う。
本書で書かれている文楽は、殆ど接した事もなく知識もないが楽しめた。
文楽を知らなくとも、主人公や周りの人物が魅力的に描かれており、主人公の成長物語として成立する。
ただ主人公の成長が文楽の表現により示されているので、映像化は難しくつまらなくなりそうだ。
是非また再読したい。
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神去なあなあ日常 三浦しをん [本 三浦しをん]
☆☆☆☆★
軽い内容だが、大変面白い。
名古屋に住んでいるときには、毎年のように夏には熊野の海へ行く。
今年も3泊4日で行くつもりだったが、直前での雨続きの予報で、残念だが中止した。
行き帰りは、子連れで片道3時間以上の道中。
楽しみは道の駅等で、家具や木工製品を見る事だったりする。
また、結構ちゃんとした木片を自由に持って帰れるところもあり、かなりの量を貰っていく。
この物語の舞台は、同じような三重県の山の中。
高校を出て横浜を離れ、林業に従事する物語。
ストーリーも良いが、なにより主人公とその周りの人物が生き生きと描かれている事が良いと思う。
主人公が林業に少しずつ慣れ、集落に少しずつ馴染んでいく様子もうまく書かれている。
意外にも、あまり突拍子もないことで引っ張っていない所も良い。
私には、『風が強く吹いている』と同等かそれ以上に楽しめた。
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風が強く吹いている 三浦しをん [本 三浦しをん]
☆☆☆☆☆
この本は、面白かった。
平易な文体で一気に読める。
素人がほとんどのチームで箱根駅伝を目指すという設定にはかなり無理があるとは思う。
しかし、その点を流してしまえば、かなり楽しめる。
個々の人物描写に一貫性もあり素直に読めた。
ただ、登場する男性の恋愛への対応が、すごく女性的で違和感を覚える。
男性が、好きな女性に対し、自らが好意を寄せていることに気が付かないという事があるのであろうか。
私の周りには、そんな奴は居なかった。
女性作家の書いた青春小説には、よく出て来るような気がする。
とはいえ本書は恋愛が主題ではないので、たいした問題ではない。
軽く、読後感はさわやか。大変おすすめできる、面白い本である。
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