花の歳月 宮城谷 昌光 [本 宮城谷昌光]
☆☆☆☆★
中国は前漢時代の貧しい名家出身の少女の話。
宮城谷さんの中編小説。
今まで読んだ宮城谷さんの本より、より綺麗で端正な文体の様に感じた。
主人公が美貌の少女のせいだろうか。
老子思想にも絡み、暖かいストーリーが進められる。
主人公に対し良い人が次々に現れ、結果も良い。
まさに上質な物語のような作品と感じた。
宮城谷さんの長編小説とは趣は違うと思うが、このようなものも良い。
暖かい感じの良作と感じた。
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新三河物語 宮城谷 昌光 [本 宮城谷昌光]
☆☆☆★★
徳川家康の家臣、著名な大久保彦左衛門もでた大久保一族の話。
全3巻の長編。宮城谷さんの出身地である三河が舞台。
宮城谷さんの日本のものは初めて読んだ。
当然、宮城谷節は変わらずで心地よい。
私は、最後まで飽きずに読めた。
ただ、登場人物の名前が似ていて何度も家系図を見る必要があった。
氏の中国古代の小説は哲学的な薫りもして好きなのだが、本作品ではそれは薄い。
しかしながら、大久保一族の歴史が詳細に描かれ、それにより徳川家康も描かれおり、
長いが十分に楽しめた。
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戦国名臣列伝 宮城谷 昌光 [本 宮城谷昌光]
☆☆☆☆★
宮城谷さんの長編を中心に結構読んだが、本書もまさに宮城谷さんの世界で大変に面白い。
中国の春秋戦国時代の中で戦国時代の名臣・名将を主題とした短編集。
作者の知識と研究の深さには圧倒される。
しかし文章は説明的ではなく、また解説的でもない。
大変に読みやすく、深い学識に裏打ちされた文学となっていると思う。
三国志演義に通じる面白さなのだが、より史実に忠実であるために、比べると全体的に押さえた物語との印象を受ける。
三国志演義も好きだが、このような宮城谷さんの小説も良いと思う。
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孟夏の太陽 宮城谷 昌光 再読 [本 宮城谷昌光]
☆☆☆☆★
中国は春秋時代における晋の趙一族を描いた作品。
再度読みたくなり読んでみた。
やはり面白く楽しめる。
物語は紀元前655年より始まる。
趙一族の盛衰を4編の短編で切り取っている。
宮城谷さんの作品は他も読んでいるが、
ベースとなっている中国史のスケールの大きさや著述での歴史伝承のすばらしさ、
そしてなにより哲学の浸透に感心する。
もともとベースが素晴らしいのだろうが、
このような本として成立させる作者の力量を感じさせる本。
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